「構造塾」カンファレンス2024
構造塾の全国のコンサル会員・コンサル企業やゲストとの相互交流、情報共有を促進する会に参加しました。
カンファレンス前には、構造計画スペシャリストの定例ミーティングを行いましたので、その議事録を記事にしたいと思います。
今まではZOOMでの開催でしたが、今回は初めてリアルでの開催となりました。
場所はもちろん新横浜のM’s構造設計さんにて。
そして、構造計画スペシャリストの新メンバーが。
神奈川県のスタジオアネッロの冨田さん。構造塾はもちろん、環境塾のメンバーでもあります!
狭小住宅などの都市型3階建ての実績が豊富なイメージ。大阪にも近しい条件の物件がたくさんあるので、今後も色々教えてもらおうと思います。
今回は私がレビューする回で、ご要望にありました3階建ての構造計画をお見せしたいと思います。
その前に岐阜のタマゴグミ井手さんのお話を。
中古住宅の間取り
予算に限りがあり中古住宅の購入を検討されることになったお客様。1年以上の長いお付き合いもあり、「お客様が見つけた中古住宅も一緒に見てあげますよ」と井手さん。
その中に含まれていた物件のひとつが、2020年竣工(築4年)の住宅でした(図面はここではお見せできません)。この住宅は、岐阜で年間100棟以上を建築しているビルダーが手掛けたものです。このビルダーは現在、全国展開を目指している勢いのある会社のようです。
図面を詳しく確認したところ、このビルダーの物件は構造計画が十分に練られておらず、断熱仕様も最低限のレベル。それにもかかわらず、販売価格は相場よりもかなり高額でした。
お客様は「この価格なら、断熱性能が良くて構造もしっかりしているはずだ」とお考えだったようですが、実際にはその期待を満たしていない状況です。この点について、丁寧に説明をして判断材料を提供していく必要がありそうです。
このように構造計画だけでなく、普段の業務で感じたことや気付きの共有を定例会では行っています。
井手さん、貴重な情報ありがとうございました。
それでは、本題の構造レビューに。
3階建て構造レビュー
●図面
大阪の建売屋の図面を書いたときのものです。900モジュール。
左上が1階。左下が2階。右上が3階。
●構造区画・柱(4P以内)チェック
2階と3階の区画はズレています。柱の位置は合わせる。
※ヌック部分は上階柱の直下に柱がない=ヌック部分の梁で荷重を受けることになるが、450㎜ズレに柱を設けている(ヌックとバルコニーの間)。ヌックバルコニー間柱の直上に柱を設ければ、その荷重を流すことができる。
1階と2階はピッタリ揃える。1階は2階と3階の荷重を受けるため、出来る限り揃えたかった。
●耐力壁線(6P以内)チェック
次に耐力壁線として成り立つかの確認。
①耐力壁線長さの0.6倍 or ②4.0m
どちらか大きい方の長さ以上の存在壁量が必要。
緑色の矢印部分の通りは、
①4.5m×0.6=2.7m
②4.0m
のため、②の4.0m壁量が必要になる
長さ0.9m(900㎜)の壁で、壁量4.0mにするめには、4.0m÷0.9m=4.444444444444…..
となる為、そこは倍率4.5倍以上の耐力壁が必要になる。
※壁量とは、壁の枚数ではなく、「壁の長さ×倍率」が壁量となる。
ちなみにキッチン上部に梁がきますが、キッチンレンジフードと干渉する可能性があります。※階高にもよる
そのため、キッチンのエリアは天井を下げ、レンジフードの排気ダクトは東側(右側に)排気ルートを取るなど、この時点で計画を検討しています。
そのイメージがこちらのパース。
●耐力壁のチェック
耐力壁が足りているかのチェック
必要壁量計算
「壁量係数(軽い屋根・3階建て)」46×「面積」40.5㎡×「許容応力度の耐震等級3」2.7
=50.30m
1階外壁倍率を2.5倍として計算。
2.5倍×4.5m+4.0倍×3.6m+2.5倍×4.95m=38.02m
50.30ー38.02=12.28m不足
仮にガレージ部分の耐力壁の長さ4.95mに壁量12.28mを負担させれらば解決。
12.28m÷4.95m=2.48倍
ガレージ部分の現状2.5倍の倍率に2.48倍増やせばよい。
=耐力壁の倍率を5.0倍にすればクリア
●基礎区画
最後に基礎区画。キレイに区画しています。
エヴォルツの早川さんからは3階建てでも、ごつい基礎にはならなさそうとのこと。
●佐藤さんから
大丈夫そう!!
一同(笑)
この後のカンファレンスもあり、お忙しい中ありがとうございましたm(__)m
ただ、やはり3階建ては難しいですね。その中でもキレイにまとめているのではないかと思います。
定例ミーティングの後は、カンファレンスでセミナー&交流会。楽しく刺激のある夜になりました!
次回予告。新メンバー更に増えます!!
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