台風10号の影響で、各地雨風が強いですね。災害時の備えは万全でしょうか?
万が一に備えて、常日頃から対策しておくことをおすすめします。
さて、本日のブログは構造計画スペシャリストのミーティング内容です。
各自持ち寄ったプランニングを「構造王」佐藤さんにレビューをいただく会です。
まずは私が実際に作成したプランニングをレビューしていただきました。
没プランになったので図面も公開しながら解説したいと思います。
みつやま
構造区画
まず初めに1階と2階の区画がしっかり割れているか確認します。
赤線は2階の区画を示しており、1階の区画にしっかり重なっていることが確認できます。
続いて柱位置の確認です。
柱は4P以内に収まるように検討します。←重要なポイント
耐力壁線
外周部の耐力壁を青ペンで、内周部を赤ペンで表記しています。
耐力壁線を検討。6P以内に収めたい。←重要なポイント
耐力壁線条件チェック(品確法の手法にて)
つづいて壁線として成立するかを検討します。
①耐力壁線長さの0.6倍
②4.0m
①②どちらか大きい方の長さ以上の存在壁量が必要
ここの通りをみてみます。
①7.28m(耐力壁線の長さ)×0.6=4.368m
②4.0m
この場合、①の方が大きい値になりますので、4.368m以上の存在壁量が必要となります。
赤線の壁の長さを1.82でみます。(トイレ部分は910㎜で安全側でみています)
4.368(必要な存在壁量)÷1.82(耐力壁の長さ)=2.4
2.4倍の壁が必要となります。
つまりこの2P分(1.82m)の耐力壁は、たすき掛けの筋交いになります。
この要領でほかの壁線も確認していきます。
質疑応答
UB部分とリビング窓横の部分を耐力壁としてみるべきかどうか。
結果としてはどちらでも構いません。ただし、壁線条件等が変わるので比較画像を用意しました。
基礎スラブ区画
次に基礎区画についてです。
緑色が基礎区画、ピンク色は施工上必要になる立ち上がりを示しています。
接地圧について
基礎の底盤面積が小さい→重量が集中する→地盤への影響が大きくなる
建物の重量を基礎底盤面積で負担されます。その面積が小さいと…
地盤に与える影響についても検討が必要です。
時間の関係で、地盤にかかる圧力を感覚的に数値化すると以下のようになりますが、通常だと地盤の支持力(qa)は20kN/㎡くらい。
しかし接地圧が厳しくなると、細かいスラブ区画部分が場合によっては25kN/㎡になります。
地盤支持力(qa)が25kN/㎡にあがってしまい、地盤改良費が増加したり、コストアップに繋がってしまう可能性があります。
佐藤さんからフィードバック
構造計画が非常にきれいに出来ているため、
お客様にプランを見せる際には、構造の安定性や構造区画がしっかりしていることを説明した方が良い。他社のプランを比較した際に、区画がキレイに配置されているか、上下の柱がぴったり揃っているかを、お客様自身で確認できるように教えてあげることが大切。
これにより、構造上問題のあるプランは自然に排除され、経済的な設計がお客様にとって有益になる。
これまで、柱位置に〇をつけてお見せすることはありましたが、見方を教えるところまでは至っていなかったの、すぐに取り入れたいと思います。
伊藤さん
地元工務店の営業マンが作成したプランを伊藤さんが構造チェック。
構造上問題が多々あり、ダメ出ししていると「伊藤さんうるさいから」と別のところに依頼されたプランのようです…
プランはお見せできませんが、その営業マン曰く
「外観が凸凹している方がかっこいい!」…←パースを見ても全然かっこよくない…
「自由設計はこうだ!」…←間取りをぐちゃぐちゃにすることが自由設計なのか…
というような図面でした。
それでも、さすが伊藤さん。伊藤さんがコンサルに入っているため、重要なところにはしっかり柱が配置されています。(4P以内に柱はあります。)
しかし、LDKに不自然な柱が…インナーバルコニー部分は、不陸事故・雨漏りが懸念される設計になっています…
佐藤さんからのアドバイス
意識的に4P以内に柱が入ってそうなのは成長の証。
しかし、体力壁線を考慮するまではまだ不十分で、構造区画をもっとしっかりサポートする必要がある。
構造区画の形パターン
構造区画が出来ない人の特徴は、全プランに×がある。
これをみたあとに、光山さんプランをみると余計に綺麗に見えますね。←このプランと比較されるのは、あれですが、褒められるのはとてもうれしいです☺笑
井手さん
井手さんは少し異なる視点から。
最近、中古物件の改装相談が増えているようで、相談に来られた方に対して「難しいから辞めた方が良い」と判断しましたが、その判断が正しかったかどうか。
その他、柱を下に配置してプランを作り直すことは可能ですが、その基礎補強が成り立つかどうかも懸念事項。
中古物件のリノベーションに関する相談が増えているため、判断基準をどうするかが課題となっています。無筋基礎の物件を購入して良いかどうかの判断も難しい問題。
佐藤さんからのアドバイス
最近のリノベ案件を見ていると、旧耐震の物件はリスクが高い。
それでもリノベーションは可能ですが、コストがかかる場合がほとんど。
耐震診断法:基礎が無筋のまま設計は可能
柱頭柱脚にはプレート程度の金物(ホールダウン無し)、耐力壁1枚当たりの耐力は低下するが、低い倍率の耐力壁を多数設けてることで全体を補強する方法がある。
基礎は補修程度で低コストで耐震補強は可能。
ただし、住み続けるまでの性能は無い。一度の地震では倒壊せずに頑張れる、命を守る性能を確保は可能。
目安として
基礎に鉄筋が入っているのは2000年から。もしくは90年~2000年までの公庫の物件(鉄筋あり)
その物件を購入して、耐震リノベはリスクが低くなる可能性があり現実的ではないか。
基礎の補強方法について
〇無筋基礎に沿わせて基礎を新設するのは意味がない。(ホールダウンを設けて新設基礎に引っ張り力を持たせるのは効果あり)
〇無筋基礎にアラミド繊維やFRPを貼り、現状の基礎を補強する
〇リノベの間取り変更の際、新たな耐力壁(高倍率)の下に基礎を新設し、そこに地震力を集約する
年代を見ながら中古物件を勧めること。
井手さんのお断りした物件については、リノベしない方が良いとの判断で正しかったと思う。
次回ミーティング
・次回から毎月1人がプランをレビューする形で進めます。伝えるための練習の場として活用
・現状物件等の相談の場
次回は早速、私がレビューします。早川さんからの要望により、3階建ての案件を準備します。
10月18日は構造塾カンファレンスがあり、その午前中にリアルでミーティングを行います。
昨年のカンファレンスで一気に人脈が増え、そこで色んな所での学びの場が増えたので今年も参加でき嬉しいですね。たのしみです!
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