住宅を建てる際、「大手だから安心」と思っている方も多いでしょう。しかし、いくら大手であっても、不具合やミスが一定割合で発生しています。以下の分析結果から、施工における問題の実態と、その背景について見ていきましょう。
2023年、国内のホームインスペクション普及のパイオニアであり、依頼実績ナンバーワンのさくら事務所様が実施した調査結果によると、大手でも断熱検査の6割で不具合が発覚しています。このデータは、「大手なら安心」と思っている方々にとって、非常に驚くべき結果ではないでしょうか。設計段階で高い耐震性能や断熱性能が設定されていたとしても、実際の施工でしっかりと品質が守られていなければ、建物の性能は低下してしまいます。
では、なぜこうしたミスが大手でも発生するのでしょうか。その背景には、以下の3つの要因が存在しています。
①人為的ミスは起こる
建築業界では、工業化が進んでおり、特に大手企業では施工の均質化を目指し、工場生産や大型パネル化によって現場での作業を減らす取り組みが行われています。これにより、人為的なミスが減少する傾向にありますが、現場での作業がゼロになるわけではありません。
実際に施工するのは人間である以上、人為的なミスは避けられないのです。いくら丁寧な施工を心掛けていても、現場の作業においてはミスが発生する可能性が残ります。だからこそ、ミスを事前に発見・修正できる体制の整備が求められます。
②人手不足
現場では、人手不足が業界全体の深刻な課題となっており、現場は多忙を極めています。近年、業界では工業化が進みつつありますが、これだけでミスのリスクを完全に排除することは難しい状況です。また、万が一ミスが発覚した場合、迅速かつ真剣に対応できる人材が確保できないことも問題です。現場の作業員や管理者の負担が増えることで、対応力が追いつかない現場も少なくありません。
③知識・経験不足
経験やスキル不足が原因で施工不良が発生するケースも多々あります。職人や管理者が適切な知識や経験を持っていないと、仕様通りの施工が行われず、結果として不具合が発生することにつながります。異なる工法や基準に対応するには高いスキルが求められますが、人手不足や労働時間の圧迫で、教育体制が十分でないこともあり、この点も大きな課題といえるでしょう。
品質検査導入の重要性
このように、住宅建設の現場にはさまざまな問題が存在しています。しかし、事前に検査体制を整えることでリスクを大幅に軽減することが可能です。品質検査の導入には以下のメリットがあります。
- 品質向上
施工の問題を早期発見し、対応できるため、全体的な品質が向上します。 - 設計図書通りの施工
検査によって設計図書通りに施工されているか確認することで、意図した仕様に近づけられます。 - 施工進捗のダブルチェック
施工の進捗状況を複数の視点から確認することで、ミスの防止に役立ちます。 - トラブル防止
不具合を早期に発見し、対応することで後のトラブルを未然に防ぎます。 - 住宅履歴情報の確保
写真記録によって住宅の履歴情報を残し、将来的なメンテナンスやリフォームに役立てることができます。
おわりに
大手だから安心、品質が確保されているとは言えないことが、今回のデータからも見えてきました。
もちろん、大手だけでなく、工務店の施工品質も同様です。以前、私が勤めていた工務店でも、知識不足による施工不良はありました。
安心して長く住める住まいを手に入れるためには、施工品質を向上させる必要があります。
ミスの背景にある原因を理解し、施工管理や品質検査などの対応策を検討することが大切です。家づくりは人生の大きな決断です。だからこそ、「信頼できる施工かどうか」を確認し、後悔のない家づくりを目指しましょう。
そのために、品質検査の導入検討もしてはいかがでしょうか。
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