床下エアコンは寒い?暖かい?実測で分かった本当の仕組みと空気の流れ

「環境塾」で、住宅の空調について発表してきました。
この2年間、いろんな場で学んできた内容を盛り込みました。
今回は「川西の家」を例に、その発表内容の一部をわかりやすくまとめてみました。

※環境塾とは、過去ブログをご参照ください。

今回のブログテーマはシンプルです。

「家の中の空気って、どうやって動いているのか?」

また、こうした疑問を持たれる方は多いと思います。
「床下エアコンって、本当に暖かいの?」
「吹き抜けってやっぱり寒いの?」

今回は、実際に測定したデータをもとに、
家の中の空気がどう動いているのかを整理してみます。

結論から

今回、一番伝えたいのはこの点です。
床下エアコンは“風”で暖めているわけではない。

実際には、
床そのものが暖房機になっている状態でした。

床下エアコン(床上に設置)

今回は、お施主様がこれまで使用されていたエアコン(中古)で暖房が賄えるという計算結果だったため、10畳用のエアコンを設置しています。

実際には、負荷計算上は8畳用でも十分対応可能で、さらに外気温が-3℃程度まで下がるような大寒波時でも、500W程度の補助暖房(デロンギヒーターなど)を併用すれば、6畳用でも成立するレベルです。

■ 冬の話:足元が暖かい理由

床下エアコンというと、
「ガラリから暖かい風が出てくる」
と思われがちですが、実際は少し違います。

● 本当に起きていること

床下の空気がじんわり床を温め、

温まった床が、ゆっくり熱を出し続けるという仕組みです。

室温が安定していない状態
お風呂の床

室温が安定していない状態でのサーモグラフ。お風呂の床まで暖かく、もはや全館床暖房状態です。

● どれくらい効いているのか?

実測では、
床からの熱は、吹き出し口(ガラリ)から出る暖気の約3倍という結果でした。

つまり、暖房の主役は風ではなく、床そのものがじんわり暖めているという状態です。

● だから快適

床の温度はほぼ均一で、

  • どこを歩いても同じくらい暖かい

足元が冷えない理由はここにあります。

いわゆる床暖房のような放射暖房になっているため、
設定温度以上に暖かく感じられます。

室温が安定すると床・壁・天井の表面温度が一定になり、かなり快適な環境になりました。
この時エアコンはほとんど動いていない状態になっています。

ちなみにこの時の外気温は、、、

外気温3.5℃

室温は…

LDK22.3℃
寝室22.0℃
2階ホール23.0℃

ちなみに床下(基礎空間)は、20℃程度です。

■ 夏の話:冷房は「風の設計」

冬とは逆に、夏は

空気をどう動かすか

が重要になります。

● エアコンは上に置く

この家では、エアコンをロフトに設置しています。

冷たい空気は下に落ちるためです。

● 家全体で冷やす仕組み

空気の流れは次の通りです。

ロフト → 廊下 → 階段 → 1階 → 吹き抜け → ロフト

実際に、

吹き抜けから上昇し、階段から吹き降ろす

という空気の対流が確認でき、
設計通りに空気が動いていることを体感できました。

【補足】吹抜けが寒い理由。

暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降します。
室内に温度差があると、冷たい空気がどんどん降りてきて、寒さを感じる原因になります。
一方で、今回の物件のように室内の温度差が小さい場合は、対流は非常に穏やかになり、吹抜けがあっても寒さは感じにくくなります。重要なのは、温度差をつくらないこと
そのために必要なのが、断熱と気密です。

吹抜けが寒いと言われる背景には、
空間そのものではなく、住宅性能の影響が大きいケースが多いのが実情です。

● 締め切った部屋はどう冷やす?

各部屋には小さな換気ファンを設置しています。

部屋の中を少しだけ負圧にする

すると、
廊下から冷たい空気が引き込まれる

つまり、

❌ エアコンからの風を部屋に押し込む
ではなく
⭕ 部屋が冷たい空気を「吸う」

という考え方です。

測定の様子

■ パッシブ換気という考え方

北海道で見てきた実験でも印象的だったのが、

条件がそろえば、機械に頼らず換気できる

という点です。

● なぜ換気できるのか?

  • 室内外の温度差
  • 上下の高さの差

これによって、

自然に空気が流れる

仕組みが生まれます。

つまり…

断熱気密化された家の性能そのものが換気装置になる

ということです。

■ 大事なのは「機械」より「つくり方」

今回の実測から見えてきたのは、

・床下エアコンは“風”ではなく、
 床そのものが熱を放射する暖房(=床暖房のような状態)になっている

・空間のつながりによって対流が生まれ、
 設計次第では高額な全館空調設備に頼らず、家全体を快適に保つことができる

・換気も単に設備に頼るのではなく、
 設計者は原理を理解する必要がある

つまり、

エアコンの性能ではなく、設計で快適さは大きく変わるということです。

■ まとめ

今回の実測から見えてきたのは、

家のつくり方で、快適さは大きく変わる

ということです。

  • 床がじんわり暖かい
  • エアコン1台でも家全体が快適
  • 無理に機械に頼らなくても換気できる

こうした状態は、
設計次第で十分に実現できます。

■ おわりに

実際に測ってみることで、
「なんとなく良さそう」が、はっきり見えてきました。

これからの設計でも、空気の流れをきちんと考えること
を大切にしていきたいと思います。

※注意
なお、この記事をご覧いただくと、
「意外とシンプルにできそう」と感じるかもしれませんが、

実際の空調計画は、
・気象庁の過去データ(約10年分)
・建築地ごとの日射量や太陽高度
・冷暖房負荷計算
などを前提に、緻密な設計と検証の上で成り立っています。

また、空調が適切に機能するためには、
構造計画も含めて基本設計の段階から一体で検討することが重要です。
これらを考慮せずに安易に取り入れてしまうと、
結露やカビといった不具合につながるリスクもあります。

空調計画は「なんとなく」で成立するものではありません。
必ず、根拠を持った設計として検討することをおすすめします。

なお、RAYm’sでは空調設計のご相談も承っております。
ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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