今日は、静岡県の中村真住環境設計 一級建築士事務所の中村さんのレビューをご紹介します。
中村さんとは、今年1月に埼玉の夢・建築工房さんへ一緒に訪問した仲間で、
構造塾や空調講座も受講されているとても勉強熱心な設計士さんです。
そして——とにかく意匠(デザイン)がめちゃくちゃカッコいい。

そんな中村さんがレビューしたのは、「大工さん自身が建てる二世帯住宅」。
家づくりのプロが自宅に求めた“構造の考え方”には、これから家を建てる方にも大きな学びがあります。
大工さんならではのシンプルなご要望
最初にいただいたご要望は、実に明快でした。
「総2階で、四角い家がいい」実はこれ、構造的にとても優秀な形です。
- 壁や柱をバランスよく配置できる
- 不要な凸凹がなく、コストも抑えやすい
“家はシンプルなほど強い”という鉄則を大工さん自身が理解しているからこその選択です。
耐力壁の「面材選び」が、家の自由度を左右する
今回の家は瓦屋根。
瓦は重いため、家全体の“支える力”がより求められます。
そのとき重要になるのが、耐力壁に使う面材選び。
もし壁倍率(強さ)が低い面材を使うと、
必要な耐力壁の数が増え、家の中にも多くの壁が必要になります。
そこで今回は、
外周部をより強い面材でしっかり固め、中を自由にできるように
構造設計を工夫していきます。
これは、将来間取り変更がしやすい
スケルトンインフィルの考え方 にもつながります。
強くすればいい、ではなく「強さのバランス」が必要
外壁を強くしすぎると、今度は別の問題が発生します。
たとえば家の角にホールダウン金物を大量につけなければならないなど、過度な負担がかかることもあります。つまり、“強さ=とにかく強くすればいい”ではないということ。
外周部と内部、上下階のつながりなどを見ながら、バランスよく強さを配置することが大切 です。
外周部をしっかりさせると「家の中が自由になる」
外の壁で耐震性をしっかり確保すると、内側は必要最低限の壁だけで済むことが多くなります。
その結果、
- 間取りがすっきりする
- 将来のリフォームがしやすい
- 基礎や梁が減り、コストダウンにもなる
という大きなメリットがあります。


実際に私がSNSに投稿した基礎のビフォーアフター写真 は、見た目もコストも改善した様子が大変好評でした。


面材の「透湿性」も無視できない
面材には、
- 湿気を通しやすい
- 湿気を通しにくい
という特性があります。
地域の気候や断熱仕様によっては、湿気を通しやすい面材のほうが家のためになることも。
壁体内の結露についての検討も必要になってきます。
家づくりは、
耐震性 × 断熱性 × 耐久性
この3つをセットで考えることが大切です。
地震のゆれを“分散”するための設計
外周部を強くすると、
家の“水平構面”(床や天井の面で支える部分)に負担が集中しやすくなります。
そこが弱いと、揺れたときに家がゆがむ原因に。
そこで、
- 必要なところには内部の壁を適度に残す
- 屋根形状や梁(はり)の配置で負担を分散する
など、
総合的にバランスを整えながら強さを確保 しています。
まとめ:暮らしやすさと“構造の強さ”はセットで考える
今回の大工さんの二世帯住宅から分かったのは——
✔ 家の形がシンプルだと強く、コストも抑えやすい
✔ 外周部をしっかり強くすると、内部の自由度が上がる
✔ 「ただ強い家」ではなく、バランスよく設計することが大切
✔ 内部の壁や柱が減ると、暮らしやすさも将来の変更もしやすい
ということです。
家は見えない構造の工夫が、人生の暮らしやすさを大きく左右します。
デザイン(意匠)と構造が両立した家づくり。
中村さんのレビューから、その大切さを改めて感じる内容でした。
