11月27日に発売されました。「建築知識ビルダーズ」が本日ようやく届きました!
タイトルは耐震・断熱をアップしても建築費は下がる!
構造計画ルールや実物件の紹介が特集されており、建築業界で注目度の高い内容となっています。この定例ミーティングで行われているレビューも、今後紹介される可能性があるかもしれません。
伊藤さんの物件レビュー
本日は、長野県で設計事務所を営む伊藤さんによる 2階建て木造長屋住宅のレビュー が行われました。この図面は、構造計画を意識し始めた初期の事例とのことで、多くの学びが共有されました。
壁だらけの耐力壁とコスト増
設計当初、構造計画を意識せず、すべての壁を耐力壁にした結果、基礎が過剰に増えコストアップに。この反省を踏まえ、間崩れのない設計を意識するよう指導を強化。上下階の間仕切り配置を重視する一方で、空間優先の考えから間崩れが発生するケースも見られます。
パネル化と構造計画
パネル化を視野に入れているものの、現時点では構造計画が十分に検討されていないため、パネル化のメリットを最大限活かせていない状況にあります。同様に、〇〇構法を採用しているビルダーにも構造計画の不足が見られるケースが多く、力業による構造がコスト増の原因となっています。
プランと設計者の癖
梁の配置やプレカット図面を意識せず設計することで、無駄の多いプランニングが見受けられます。意匠設計者が構造計画を意識し、プレカット屋任せにしないことが改善の鍵です。
今回のプランも設計者の癖が出ているプランになっている。
過去の投稿にも上げていますが、まさに×の区画です。
設計意識の進化
伊藤さんの指導のもと、設計者がホームズ君を用いた構造計算を実践し始め、梁の配置がキレイになる傾向になってきたようです。この図面は、構造計算内製化のきっかけとなったもので、設計者の意識改革が進んでいます。
ロジックの話
パネル化の話や〇〇構法も構造計画がままならない状態であれば最大限のメリットを活かすことが出来ていないという話があり、そこからロジックの話になったのですが、誤ったロジックはポジショントークに過ぎず、避けるべきだと思いましたので共有します。
耐震等級3の必要性
耐震等級3の必要性を訴える論理は以下のように整理されます。
- 正しいロジック
- 耐震等級3が必要
- 住み続けるために安全性が重要
- より高い安全性を確保するため耐震等級3を採用
- 誤ったロジック
- 耐震等級3が必要
- 安全性を確保するために耐震等級3
- 特殊構法(〇〇構法)が絶対必要
四号特例縮小の話
四号特例縮小の話でも同じことです。
- 正しいロジック
- 基準法が改正。四号特例が縮小され、仕様規定が強化されます。
- けど、部材設計や基礎設計などの詳細はしません。より安全性をみるには詳細設計必要です。
- 住み続けるためには耐震1では不十分。だから許容応力計算の耐震等級3が必要。
- 誤ったロジック
- 基準法が改正。四号特例が縮小され、仕様規定が強化されます。
- だから耐震等級3が必要です
- 特殊工法(〇〇構法)が絶対必要
工法はあくまで選択肢の一つであり、「〇〇構法が最善」ということはありません。
誤ったロジックはポジショントークのひとつなので避けましょう。
次回に向けて
今回のレビューを通じて、新たな学びを得る機会となりました。「建築知識ビルダーズ」に掲載された佐藤さんの経済設計の課題も共有され、設計者の固定概念を超える必要性が再確認されました。
原稿を作成しているときに思いついたようで、もっと経済設計ができると。まだまだ足りないと。
「構造王」佐藤さんですら、進化されようとしています。私は伸びしろしかないなと。もっと学び、精進していきたいと思います。
次回、もしくは次々回に施工側の視点からの野澤さんの実例発表を予定しています。
レビューを重ねる中で、構造計画に関する知見をさらに深めていきたいと思います。
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