断熱方法について(付加断熱現場見学)

おはようございます!こんにちは!こんばんは!みつやまです。
(尊敬するブロガーさんの入りをオマージュしました。)

さて、先日は構造塾や環境塾で共に学ぶ勝部さん(勝部建築:島根県)の現場見学に行ってまいりました。
以前から勝部さんには良くしてもらっていて、7月上旬に上棟現場があるから、付加断熱の施工現場を見学においでよ。と誘われており、その日を迎えました。

付加断熱はこれからやっていきたい、やらないといけないと思っている内容のひとつ。付加断熱を過去に2件ほど施工したこともありますが、標準採用していきたいと思っているので、もっと理解を深めないといけないと思い、今回学ばせていただきました。
もちろん今でもUA値は0.4前後。断熱等級6(UA値0.46以下)なので十分と思われますが、やはりUA値はあてにならないことが、勉強しているとよく分かってきます。

ところで付加断熱というのはどういう断熱方法か。その内容について書いていきます。

断熱方法については主に3パターンあります。
充填断熱・外断熱・付加断熱。それぞれの特徴を見ていきたいと思います。

充填断熱

充填断熱。じゅうてんと読みます。構造体(柱・梁)の間に断熱材を入れる方法です。
比較的に費用を抑えることもでき、一般的によく採用される断熱方法です。
断熱材もたくさん種類があり、それぞれに適切な施工が必要ですが、その内容はまたの機会に。

繊維系断熱材(グラスウール)

発砲系断熱材(ネオマフォーム)

ヒートブリッジ(熱橋)が多く、断熱欠損が起きやすいことが注意点です。
柱や梁の木部は、断熱よりも熱を伝えやすいので、熱橋と言われます。

外断熱

外断熱。外張り断熱とも言われます。構造体の外側に断熱材を貼る方法です。
充填断熱とは異なり、ヒートブリッジ(熱橋)が少ないという特徴です。特に木造ではない鉄骨造等でよく採用されます。鉄は木よりも熱を通しやすいため、外断熱の採用が必然的に多くなります。

真夏の炎天下に、鉄板とベニア板を置き、それらを触って比較する状況を想像してみてください。鉄板は火傷するほど熱くなり、ベニア板はそれほど熱くなりません。このように、鉄の熱伝導率が高いため、鉄骨造ではしっかりと外側から断熱材で守る必要があります。

外断熱が充填断熱よりも断熱性能が高いと考える方がいらっしゃるかも知れませんが、一概にそう言えません。
断熱性能いのいてじゅうようなのは、断熱材そのものの熱伝導率(熱を伝える力)だけでなく、その厚みも関係します。

充填断熱の場合、断熱材の厚みは柱の大きさに依存します。例えば、105㎜角や120㎜角の柱間に、断熱材を目一杯詰めると、それぞれ105mmや120mmの厚みとなります。一方、外断熱が20mmや30mmの厚みしかない場合、充填断熱の方が断熱性能が高くなることもあります。

断熱材の種類、性能、厚みをしっかり確認し、比較検討が必要です。計算もできますがそれはまたの機会に説明します。

付加断熱(充填+外)

最後に付加断熱についてです。これは内側と外側のダブル断熱とも呼ばれ、充填断熱と外断熱の良いところを組み合わせた方法です。充填断熱で断熱材の厚みを確保し、外断熱でヒートブリッジを減少させることで、高い断熱性能を実現できます。

写真は、通気層のいらないエコサームという商品の例です。内側には充填断熱としてグラスウールを120mm施工しています。通気層が不要なため、コストを抑えることができるとして、設計者と施主様の相談の結果、この商品を採用しました。この物件では、長期優良住宅の取得のために、構造材に加圧注入材を使用するなど、思わぬところで金額が上がってしまいました。個人的には通気層を設けたいと考えていますが。

コストパフォーマンスも考慮

最近では、各ハウスメーカーが断熱等級7を目指して新商品をアピールしています。しかし、その方法はコストパフォーマンスが非常に悪い印象です。ハウスメーカーは力技でUA値のみをクリアしようとしているようです。実際、ハウスメーカーに勤めている方々の話を伺うと、価格が高いため、各社の主力商品というよりも、ただ出している商品になってしまっているようです。

私のブログでもたびたび述べていますが、UA値だけでは真の快適性は生まれません。

例えば、断熱等級7の住宅でも、日射を無視した設計では十分な快適性は得られません。一方、断熱等級6であっても、日射をうまく取り入れたり遮蔽する設計の方が、冷暖房負荷が下がり、快適性が向上します。

力技ではなく、コストとのバランスを考えたコストパフォーマンスの良い方法を模索中です。そのため、今回、比較的安価なグラスウールを用いた外断熱を標準採用している勝部建築さんを訪れました。もともとラファエル設計の神長さんから教わったそうで、8月下旬に、ラファエル設計さんの物件視察のため、栃木県に環境塾メンバー全員で伺う予定です。



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