構造計画を内製化してコスト削減へ

本日の構造計画スペシャリストのミーティングでは、長野県の伊藤さんから実例報告をいただきました。

伊藤さんが関わっている工務店では、構造計画の内製化に挑戦中です。
中心となっているのは設計担当の女性スタッフ。主体的に学びながら、実際のプラン改善や「規格化」による新商品開発にも取り組んでいます。

これまで営業マンが作成していたプランに比べ、構造的な合理化とコスト削減を両立する事例が出てきたため、今回はそのプランとコスト比較が行われました。

改善事例

  • 柱本数:営業プラン 60本 → 見直し後 43本に削減。
  • 基礎・構造区画を整理し、施工コストを大幅削減。
  • 許容応力度計算を行い、非構造柱を活用 → 基礎の合理化につながった。

このように、「数字で成果が見える」設計へと進化しています。

営業プランの基礎
構造計画を検討したプランの基礎

商品開発の方向性

  • モジュール化(例:4P × 4P)で設計効率を高める。
  • 増築や敷地条件に柔軟に対応できるプランニング。
  • 設計工数を削減しつつ、コストダウンを実現。

結果として、営業プラン(基礎坪単価 約59,000円)に対し、新商品では約54,000円へコストダウン
木材の「歩留まり」は若干下がりましたが、総合的には基礎合理化の効果が大きくプラスになりました。

技術的なディスカッション

勉強会では、さらに実務に即した議論も交わされました。

歩留まり改善

  • 材料寸法を考慮した設計が有効。
  • 将来的にはAI活用による最適化の可能性も。

柱配置の考え方

  • 柱削減は効果的だが、基礎への負担を考えると「一部残す」判断も重要。
  • 非構造柱は「半割材」などでさらにコストダウンが可能。

現場との接続

  • スケルトンインフィルを実現するには、大工や監督の墨出し・納まり精度がカギ。
  • 技術差が出やすく、職人育成が課題。

その他の意見

  • 「構造計画+AI」でさらなる合理化。
  • 施工事例から学べる工夫(野縁・下地処理、配線、プレカットと現場加工の使い分け)。
  • 見積方法の違いによる評価差、柱削減で基礎コストが逆転する可能性。

次回

  • 次回は新メンバーの中村さんが二世帯住宅の構造計画を発表予定。
  • 各メンバーが「構造計画を第三者に説明できるレベル」に到達することを目指す。
  • コスト削減効果を定量的に示し、社内外で共有できる形を整えていく。

まとめ

今回の事例から見えてきたポイントは…

  • 構造計画を内製化することで、設計段階からコストをコントロールできる。
  • 数字合わせだけでなく、現場力や職人技術との連動が不可欠。
  • 主体的に学び、改善を実践する人材がいることで、新しい商品開発が前進する。

これからは「設計=デザイン」だけではありません。
構造やコストまで含めて、トータルで合理化を考える時代が始まっています。

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