木造建築の未来へ:CLT×ツーバイフォーの可能性

朝から名古屋へ向かう新幹線の車窓を眺めながら移動。
窓際のひんやりとした空気に触れ、「断熱は窓から。」という言葉が頭をよぎります。

今回の名古屋訪問の目的は、今後業務提携を予定している三菱地所ウッドビルド様からの案内で「複合クリニックの構造見学会」に参加するため。住宅市場が縮小する中、クリニック・店舗・木造施設建築への関心が高まっており、今後の事業展開に向けた知見を広げる機会として足を運びました。

CLT工法とツーバイフォー工法を組み合わせた建築

今回見学した物件は、CLT(クロス・ラミネイティッド・ティンバー)工法ツーバイフォー(2×4)工法を組み合わせたもの。

CLT工法とは?
CLT(Cross Laminated Timber)とは、板材を直交方向に重ねて接着した大判の木質パネルを使用する工法。強度が高く、鉄筋コンクリート造(RC造)に匹敵する耐震性・耐火性を持ちながら、施工がスピーディーで環境負荷が低いのが特徴。

21cmという分厚さ。これを床構面に使うことで木造建築でも大空間が実現可能。

ツーバイフォー(2×4)工法とは?
北米発祥の工法で、規格化された木材を使用し、壁・床・天井をパネル化して組み立てる建築手法。気密性・断熱性が高く、耐震性にも優れるため、日本の住宅市場でも広く採用されています。
私ももともとはツーバイフォー専門のハウスメーカーに勤めていました。

この2つの工法を組み合わせることで、コストを抑えつつ、強度・断熱性・施工スピードを向上させた建築が可能になります。

木造建築のメリットとは?

①地球にやさしい – 脱炭素社会に貢献
木造建築は二酸化炭素(CO₂)の吸収・貯蔵ができるため、環境負荷が低く、脱炭素社会の実現に寄与。近年、SDGsの観点からも木造建築の推進が進められています。

②人にやさしい – 快適性・健康面でのメリット
木は衝撃を吸収し、温かみのある空間を作り出すため、ストレス軽減やリラックス効果が期待できます。また、調湿機能により室内の湿度を適度に保つため、健康的な居住環境を提供できると言われています。

③コストメリット – 経済的な利点
木造建築は、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)と比較して建築コストが低く、工期も短縮できます。さらに、木造は減価償却期間が短いため、税制上のメリットも大きいです。また、国の補助金制度を活用できるケースも多く、事業者にとっても魅力的な選択肢となります。

木造建築は今後の有力な選択肢に

今回の構造見学会を通じ、木造建築の可能性を改めて実感。今後、住宅だけでなくクリニック・店舗・施設建築などの分野でも木造の活用が広がっていくでしょう。

木造建築の技術は日々進化しており、**世界最大規模の木造ビル「ストックホルム・ウッド・シティ(Stockholm Wood City)」**の建設も発表されています。スウェーデン・ストックホルムに2025年着工予定のこのプロジェクトでは、25万㎡に及ぶオフィス・住宅・商業施設をすべて木造で建築する計画が進行中。世界的にも木造建築の流れが加速する可能性が高いです。

木造建築は単なるトレンドではなく、持続可能な社会を支える重要な選択肢となる時代へ。これからの事業展開に向け、さらに学びを深めていきたいと思います。

ストックホルムで計画されている「ウッドシティー」の完成予想図/Courtesy Atrium Ljungberg

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