先日、全国工務店協会の連携団体である「京都木の家ネットワーク」にお招きいただき、
住宅性能についてお話しする機会をいただきました。
参加者は工務店や設計事務所など、日頃から家づくりに携わる方々です。
テーマは住宅性能の再定義。
しかし、私がお伝えしたかったのは、
UA値やC値といった性能の数値そのものではありません。
むしろ、
「なぜ性能が必要なのか」ということでした。

性能の数値が目的になっていないか
最近の家づくりでは、
・UA値
・C値
・断熱等級
・耐震等級
といった言葉を目にする機会が増えました。
住宅性能への関心が高まること自体は、とても良いことだと思います。
私自身も、
耐震性能
断熱性能
気密性能
は非常に重要だと考えています。
ただ一方で、
数値そのものを競うことが目的になってしまっているケースも少なくありません。
本来、
性能は暮らしを豊かにするための手段です。
数値を高くすること自体が目的ではありません。
なぜ耐震等級3が必要なのか
例えば耐震等級3。
私はこれからの住宅では必須だと考えています。
日本は世界有数の地震国です。
だからこそ、大きな地震が起きても住み続けられること
家族の命を守れること
が重要になります。
耐震等級3は、単なる数字ではなく、安心して暮らし続けるための基盤です。
そこから構造計画による、経済設計を。
コストがあがっている今だからこそ、力業の耐震等級からの脱却をしなければなりません。
なぜ断熱・気密性能が必要なのか
断熱性能や気密性能も同じです。
断熱等級6を取ることが目的ではありません。
冬に寒さを我慢しないため。
夏に暑さを我慢しないため。
家のどこにいても快適に過ごすため。
その結果として、高い断熱性能や気密性能が必要になります。
本当に大切なのは防露設計
実は、性能の数字以上に大切なことがあります。
それが防露設計です。
どれだけ高性能な住宅でも、
壁の中で結露が発生してしまえば、断熱性能も耐久性も維持できません。
最近では、築10年未満でも結露やカビの被害が見つかるケースがあります。
高断熱化が進んだからこそ、結露を防ぐ設計が以前にも増して重要になっています。
空調計画まで考えて初めて快適になる
さらに重要なのが空調計画です。
高断熱住宅だから快適なのではありません。
その性能を活かせる空調計画があって初めて快適になります。
・熱負荷計算
・冷暖房計画
・除湿計画
・空気の流れ
これらを総合的に考えることで、家全体の温熱環境が整います。
最近では、
床下エアコン
小屋裏エアコン
エアコン1台住宅
なども注目されていますが、
どれも設備が優れているから快適なのではありません。
空気の流れまで設計されているから快適なのです。
性能の先にあるもの
私は住宅性能を否定しているわけではありません。
むしろ重要だと思っています。
ただ、性能はあくまで土台です。
本当に大切なのは、その先にある暮らしです。
例えば、
・無垢材の質感
・家具の配置
・照明の明るさ
・窓から見える景色
・お気に入りの椅子に座る時間
そうした一つひとつが、住まいの心地よさをつくっています。
RAYm’sが設計しているのは「家」ではなく「暮らし」
私は住宅を設計している感覚があまりありません。
設計しているのは、その先にある暮らしです。
耐震等級3も、
断熱等級6も、
気密性能も、
防露設計も、
空調計画も、
すべてはそのための手段です。
家族が安心して暮らせること。
心地よく過ごせること。
何気ない日常を楽しめること。
その当たり前を支えるために、
構造を考え、
断熱を考え、
防露を考え、
空調を考える。
そして家具やインテリアまで含めて、暮らし全体を考える。
まとめ
家づくりでは、性能の数値が注目されがちです。
しかし、本当に大切なのは数値そのものではありません。
性能は手段。目的は暮らしです。
安心して暮らせること。
快適に過ごせること。
長く住み続けられること。
そのために必要な性能を、根拠を持って積み上げていく。
それがこれからの家づくりだと考えています。
