先日、パッシブ技術研究会の岐阜研修に参加しました。
初日は、北海道大学・菊田弘輝先生による学会発表資料の報告と、凰建設・森亨介さんによる工務店経営についての講演。翌日は、凰建設さんが手掛けたパッシブ換気住宅を、施工中2件、完成・お引き渡し後2件、見学させていただきました。
実測し、検証し、設計へフィードバックする
菊田先生の報告は、パッシブ換気住宅における夏期の空調・換気性能を、実測によって検証したものでした。
対象住宅では、小屋裏エアコンによって夏期も安定した温熱環境が形成されており、室内外の温度差が小さくなる夏でも、パッシブ換気が機能していることが確認されています。
また、循環ファンの有無による室温差や消費電力の差は小さく、吹き抜けなどの建築的な計画が適切であれば、小屋裏エアコンだけでも十分な冷房効果が得られる可能性が示されました。
設計時の想定だけで終わらせず、完成後の住宅を実測することで実際の状態を把握し、その結果を次の設計へフィードバックする。
RAYm’sでも大切にしている姿勢を、改めて確認する機会となりました。

建築費ではなく、ライフサイクルコストを見る
森さんのお話で特に印象に残ったのは、これからの工務店は、建築時の価格だけでなく、住み始めてから必要になる費用まで含めたライフサイクルコストに、より深く向き合う必要があるということです。
住宅は、建てた後にも光熱費や設備交換、修繕、メンテナンスなどの費用が発生します。建物本体が長持ちしても、設備を交換できない構造であれば、住宅全体の寿命を短くしてしまう可能性があります。
高耐震、高耐久、高断熱、省エネルギーに加え、設備の更新や修繕のしやすさまで考え、本当に長く住み続けられる住宅をつくる。その価値を、初期費用だけでなく、生涯にかかる具体的な金額として住まい手に伝えることの重要性を学びました。
これは、私自身が営業時代から続けてきた、
「建てるときの金額だけでなく、住んでからの負担まで考えて提案する」
という考え方を、改めて検証する機会にもなりました。

実物を見ることで分かること
翌日の現場見学では、パッシブ換気の仕組みだけでなく、空気の通り道、床下やロフトの納まり、設備の配置、将来のメンテナンスまで、図面や資料だけでは分からない工夫を確認できました。
施工中の現場と、実際に暮らしが始まった住宅の両方を見ることで、設計意図がどのように施工され、住み始めてからどのように機能しているのかを、一連の流れとして学ぶことができました。
今回の研修を通して改めて感じたのは、住宅性能は、計算して終わりではないということです。
設計し、施工し、実測し、検証して、次の住宅へつなげる。
そして、建築時の性能だけでなく、何十年先までの暮らしと費用を考える。
今回得た学びを、これからのRAYm’sの設計と家づくりに生かしていきます。

